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Column スタッフコラム
2024年2月26日

救急車有料化!元東京消防庁救急隊が解説


日本の一部地域では救急車が有料化になろうとしています。
このことについて、元東京消防庁救急隊の視点から経験も含めて詳しく解説していきます。

 

         【目次】 01 | 救急車が逼迫している日本 1-1 | 救急車の出場件数は過去最多を更新 1-2 | 救急出場の軽症者割合 1-3 | 救急車の役割 02 | 救急車が有料化による救急隊の影響 03 | 有料化に伴う問題点 04 | 有料化の金銭的負担 05 | まとめ

 

01 救急車が逼迫している日本 


日本では救急車が“無料”で利用できます。

「目の前で意識が無くなった」
「呼吸をしていない」などの緊急時に「119」に電話すればすぐに救急車は向かってくれます。

救急車を呼んだとき「1秒でも早く来てほしい」誰もがそう願うはずです。

そんな重要な医療の役割を果たす救急車ですが、救急出場需要増加から現場に到着するまでの時間が延伸しており、救急車を要請してから到着まで10分以上要してしまうことも慢性的に発生しています。

「救急車を呼んでもこない!」「119番が繋がらない」などの状況が実際に発生しています。

なぜこのような事態が発生しているのでしょうか。
まず、救急要請の件数や軽症者の割合について見てみましょう。

1-1 | 救急車の出場件数は過去最多を更新


2022年救急車の年間出動数は722万9,838件。
700万件を超え過去最多を更新しています。
今後高齢化の進展から救急車需要により、更なる救急出場件数は増加が予想されます。

詳細はコチラ

https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/items/230331_kyuuki_1.pdf

参照:総務省消防庁

1-2 | 救急出場の軽症者割合


搬送人員の軽症者割合を見ると、軽症(外来診療)が293万8,525人(47.3%)、中等症(入院診療)が270万4,042人(43.5%)、重症(長期入院)が47万8,775人(7.7%)となっています。

図を見ていただくと分かるように、救急要請をして搬送された患者の約5割が“軽傷”での搬送となっています。

1-3 | 救急車の役割

救急車は、生命の危機が逼迫した傷病者を医療機関に迅速に搬送することを目的として運用されています

しかし、現実に目を向けると不要不急の救急要請は多数発生しており、管轄の救急隊が全隊出場してしまう状況も日常となってきました。
当然、普段一番近くにいるはずの救急隊は不在のため、救急車の到着が遅れてしまいます。

このことから、救急車は「今にも心臓が止まりそうな人」などに対して優先的に配車しなくてはいけませんが、今般困難な状況にあります。

02 救急車有料化による救急隊の影響 


救急車が有料化することによる影響について厳選した3つを解説していきます。

①救急車の利用減少

救急車の有料化は、その利用をより緊急かつ必要なケースに限定する効果が期待されます

現在、救急車は軽症や自力で医療機関に行ける状況にもかかわらず頻繁に利用されています。
有料化により、市民は救急車を呼ぶ前にその必要性をより慎重に考えるようになります。
これにより、救急車の出動回数が減少し、本当に緊急を要する患者に対して迅速に対応できるようになります。

②救急隊の負担軽減 

“救急車の不必要な利用が減少すると、救急隊員の負担も軽減されます”

現在、救急隊員は過剰な出動により肉体的および精神的なストレスにさらされています。
有料化により、救急隊員は真に緊急を要するケースに集中できるようになり、救急隊員の労働環境と職業的満足度が向上することが期待されます。
これは、救急医療サービスの全体的な質の向上にもつながります。

緊急事態への迅速な対応が可能

“救急車の有料化は、緊急事態への迅速な対応を可能にします”

救急車の出動が適切な状況に限られることで、重大な事故や重症患者への対応が迅速化されます。
これは、救命率の向上に直接的に寄与する可能性があります。
また、救急隊員が緊急事態に集中できるようになることで、より効率的かつ専門的な医療介入が可能になり、患者の生存率と回復率の向上が期待されます。

03救急車有料化に伴う問題点 


救急車を有料化するのはもちろんメリットだけではありません。
救急車が有料化した際には重大な問題点となりますので併せてご覧ください。

医療アクセス不平等

救急車の有料化は、経済的に困難な状況にある人々にとって、医療アクセスの不平等を生じさせる可能性があります。
有料化により、低所得者層は救急車の利用をためらうことが予想され、これが緊急医療が必要な状況での適切な対応を妨げる恐れがあります。
このような状況は、社会的にも倫理的にも受け入れがたいものであり、医療の公平性を損なう結果となりかねません。

救急車の利用ためらい

有料化により、多くの人々が救急車の利用をためらうようになる可能性があります。
これは、特に重症であるにもかかわらず自力で医療機関に行くことが困難な場合に問題となります。
救急車の利用をためらうことで、患者の状態が悪化する可能性があり、最悪の場合、救えたはずの命が失われることも考えられます。
このような状況は、絶対に発生してはいけない問題です。

管理・運営の複雑化

救急車の有料化は、管理および運営の面での複雑化をもたらす可能性があります。
料金徴収のシステムを設置し、その運用を維持するためには追加のリソースが必要となります。
また、料金徴収に関する規則や例外の管理、未払いに対処するためのシステムなど、多くの新たな課題が生じることが予想されます。
これらの追加的な管理負担は、救急医療サービスの効率性を低下させる可能性があります。

04 救急車の金銭的負担 


現在、救急車は無料で利用されていますが、救急車を運行することによりどれくらいの費用がかかっているのかご存知ですか?
一緒に確認していきましょう!▼

◾️救急車を1台運行するにかかるお金

  救急車は1運行するに約40,000円〜50,000円かかると言われています。 

この金額はどこから捻出されているのでしょうか。



救急車運行に関わる料金は皆さんから徴収した「税金」から支払われています。

では、どのような費用が発生しているのでしょうか。
救急車運行に関わる費用については下記のような項目があります。



【人件費】 救急隊は原則3名で運行されます。3名分の人件費が発生します。 【燃料費】 救急車を運行する燃料費 【資器材使用料】 各医療処置を行なった場合の資器材費用

以上が1運行にかかる大体の費用となります。 これ以外にも救急車運営に関わる費用も発生しています。 救急車を要請して搬送終了後、個人からの金銭の徴収はないものの、実は税金から救急車の運行と運営の費用は支払われ、成り立っています。

05 まとめ 


救急車の有料化は、救急医療システムの重要な転換点となり得ます。
救急車を有料とすることで、救急車の不適切な利用を減らし、救急隊の負担を軽減し、真に緊急を要するケースへの迅速な対応を可能にする一方で、個人の経済的負担の増加、医療アクセスの不平等、管理・運営の複雑化といったデメリットも伴います。

救急車は5万人に1台の貴重な医療資源です! 

救急車の運行や運営にも金銭がかかり、増車や増員するにも税金を要し、すぐに救急車の台数を増やすことは困難です。
救急車が本当に緊急の傷病者に1秒でも早く到着して医療機関に搬送できるよう、この救急車の有料化とともに、「民間救急」の利用を検討してほしいと思います。

民間救急は、中等症以下の患者を医療機関に搬送する役割を果たしており、柔軟な対応が可能です。

最終的に救急車を要請するか。民間救急を利用するか決定するのは皆様です。

一度、この機会に救急車の必要性を考えてみていただけるような記事になればいいなと思います。
この記事は救急車有料化に賛成や反対するための記事ではなく、今一度「今後の医療体制について」考えるきっかけとなればと思い掲載させていただきます。

全ての人が安心して過ごせる社会が実現してほしい・・心からそう願っております。



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