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2024年7月1日

災害を乗り越える!- 心に潜むリスク –


こんな方におすすめの記事です



今年の初め、突如として石川県を襲った「能登半島地震」から6ヶ月が過ぎました。

全国的に震災に対する警戒が高まる中、千葉県沖の地震活動の活発化などが追い風となり、一部地域では防災グッズが売り切れるなど、大震災への備えが進められています。

そこで今回は、Sun Road救急サービス/心理カウンセラーの観点から「災害に潜む心のリスク」とその対策法について、お伝えしたいと思います。

 

【目次】


01 | はじめに – 災害時の心のケアについて考える –

02 | 被災者のこころ

03 | ケアを行う人が理解しておくこと

      3-1 | ケアを行う人の態度

      3-2 | 関係づくり

      3-3 | 接し方

04 | 子どもへのケア

05 | 高齢者へのケア

06 | まとめ

 

 

01 はじめに〜災害時の心のケアについて考える〜


皆さん、一緒に考えてみてください。

たった今、あなたがSun Road救急サービスのホームページを閲覧していたところ、大震災が起こったと仮定します。

周りを見渡すと、家屋は倒壊し、町は壊滅状態です。
あなたは充分な備えのもと、生き延びることができました。
避難所に向かうと、頑丈な建物の前に行政職員の指示のもと、大勢の被災者が集まり始めています。  

「これで安心だ・・」

建物の倒壊から免れたことから、命の危険は完全に過ぎ去ったと思われるかもしれません。

しかし!!
ここにひとつ、被災者に忍び寄る『災害関連死』という恐ろしいリスクを、あなたは知っていますか?

この考え方は、1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災の被災地において、震災後のストレスによって病気になったり、心を病んで自殺してしまう人が多数発生したことを受け、提示されました。

 


例えば、東日本大震災における災害関連死者数は3,792人にも上り、そのうち約120名の方が震災に関連して自殺していると報告されています。

今回のコラムで、もしもの備えの一つとして、災害時に自分自身や周りの人の「こころ」にかかる負担を軽減する一助として役立てていただけたら幸いです。
是非最後までご覧ください。

02 被災者のこころ


こころのケアは、相手との関係性を構築することから始まります。
そのためには、相手のおかれた状況を理解することがとても大切です。

突然の災害に遭遇した人々の気持ちをイメージしてみてください。                
>>「死ぬかもしれない」という生命の危機に直面した「究極の恐怖」を体験しているはずです。

その後、命からがら辿り着いた避難所で安心すると同時に、目の前で失った家や財産に対する精神的なショックや、家族や大切な人の安否が分からず出口の見えない不安な気持ちに押し潰されそうになっているかもしれません。

また、時間が経過するとともに、これからの生活に対する不安など、さまざまな心配事が被災者のこころに影響を及ぼしていきます。

03 ケアを行う人が理解をしておくこと


災害の状況や被災された方の性格、精神疾患の既往の有無などによりその反応は異なります。

ふだん通りの生活ができなくなり、なにも手につかなくなったり、イライラしたり、周囲の人とうまくいかなくなるなど、身体・思考・感情・行動などにストレス反応があらわれてきます。

ケアを行う人は、このような反応は「災害という異常なできごとに対する正常な反応である」ことを理解しておくことが重要です。

3-1 | ケアを行う人の態度


こころのケアを行う人は、以下の態度をこころがけるようにしましょう。


①被災者の状況や反応を受け入れる

被災された方の状況や反応は様々です。そのままの反応を受け入れ、その人の価値観や考え方を尊重しましょう。

②あたたかい態度で接する

被災された方の立場にたち、その状況を真剣に実感することで、自然とあたたかい態度で接することができます。

③言葉と心を一致させる

ケアを行う人が言葉に出すことと、こころで思うことを一致させます。上辺だけの言葉ではなく、心からの言葉をかけましょう。

④肯定的な態度で接する

被災された方の中には無力感や罪悪感にとらわれている場合もあります。そのようには決して思っていないと伝え、肯定的な態度で接します。

⑤一時的な関わりを自覚する

ケアを行う人が被災された方にかかわるのは一時的です。被災された方自身が前向きな気持ちになり、問題に対処できるよう援助していきます。

⑥実現可能な助言を行う

被災された方に対する助言は、実際に実現可能なものであることが大切です。できることとできないことをはっきりさせ、相手を失望させないようにしましょう。

⑦情報の守秘義務を守る

被災された方の情報をむやみに口外してはいけません。これは、ケアを行う側の倫理的な責務です。

3-2 | 関係づくりのポイント


こころのケアは決して特別なものではありません。
被災された方が安心して生活を再建できるように、生活支援や医療救護と並行して行われなければなりません。
こころのケアは被災者との関係性を構築することから始まります。
以下の点を踏まえながら、自然な関係づくりを目指してみましょう。

[1]自己紹介

医療従事者であれば資格や自分自身の身分などを紹介して、被災された方に安心感を与えます。一般の方であれば、「私は〇〇地区に住む田中です。何かお困りごとはないですか?」と優しくお声がけしてみてください。

[2] 自然な交流

精神疾患に対する偏見がある場合もあるので、「今からこころのケアをします!」と声高に言うのではなく、「体調はいかがですか?」「お熱をはかりましょうか?」と声をかけ、優しくタッチングをして身体の反応を感じ取りながら、会話を促します。
相手が話しやすい環境を提供して、自然な流れで心を開いてもらえるように心がけましょう。

[3]状況に合わせたケア

被災者の状況やニーズは様々です。災害の性質や時期にもよる異なるニーズに対し、何が適切なサポートなのかを考えて行動します。

3-3 | 接し方のポイント


相手の反応に合わせて声のトーンや表情、姿勢などに配慮してみましょう。

[1]寄り添う

被災者に対して、「大変でしたね」といった温かい言葉をかけて、安心感を持ってもらいましょう。
また、そばにいるだけでも心の支えになります。
肩や腕に手を置くことも効果的ですが、相手の性別や年齢を考慮する必要があります。
会話が途切れても無理に続けようとせず、「一緒にいてあなたを支えたい」という気持ちを伝えます。

[2]共感して聴く

被災者の話に真剣に耳を傾けます。質問を連発するのは避け、相手の話から理解したことを返したり、自分の感情を共有します。また、相手の話を遮らないよう心がけましょう。

[3]感情を受け止める

悲しみや怒りなどの感情は表現することが大切です。
被災者が悲しんでいたり、怒っている場合には、相手の感情を受け止め、「とても大変な思いをされたんですね」と共感します。

[4]総合的な支援

衣食住の問題だけでなく、経済的・社会的な問題にも対応します。
直接解決できなくても、一緒に考えたり、周囲の人と協力して解決策を模索することも大切なこころのケアです。

04 子どもへのケア


災害に遭遇することによる動揺は、一般の人たちにくらべて子どもや高齢者は特に影響を受けやすいと言われています。

しかし、子どもの多くは適切な支援や援助があれば回復していく力を持っているので、子どもの特徴的なストレス反応や対処法を学んでいきましょう。



▶︎子どもの特徴的なストレス反応

子どもは年齢により発達段階が異なるため、年齢相応の態度か、どんな遊びをしているかなどを観察していきます。

再び同じような恐怖が襲ってくるのではないかという不安から、1人でいることを極度に嫌がったり、お漏らしや指しゃぶりなど、年齢よりも幼い行動をとったりします。

悪夢にうなされたり、頭痛や吐き気などの身体的な症状としてあらわれる場合もあります。

また、音や光、においなどが引き金となり、災害時の出来事が思い起こされて恐怖を感じたり、落ち着きがなく、すぐに気が散って思考力が低下してしまいます。

ここで注意すべき点は、これらの反応は異常行動や問題行動としてとられやすいということです。しかし「災害」という異常な出来事のあとの正常な反応であると、周りの大人が認識したうえでケアを行っていきましょう。

 

>>子どものストレス反応への対処法

①親(保護者)を支援する

まず、子どもの親を支援します。親や周りの大人の「不安」を子どもは敏感に察知します。
つまり、子どもの周りにいる大人のこころの安定こそが、子どものこころの安定に繋がります。
そのため、子どもだけをケアしていくのではなく、まずは子どもの親や周囲の大人の支援やこころのケアが重要です。

②日常の習慣を継続できるよう支援する

突然、日常が崩壊するような災害に見舞われた子どもには、顔を洗う、歯を磨く、通学、勉強、運動など普段通りの生活ができることがこころの安定に繋がります。
それぞれの発達段階に見合う習慣が継続できるよう、強制するのではなく、自ら進んで行えるように支援していきましょう。

③子どもの要求にできるだけ応じ

先述したように指をしゃぶったり、普段より甘えてきたりと年齢に相応しくない行動や要求をすることがありますが、できるかぎり受け入れてあげてください。

抱きしめたり、一緒に寝たり、身体的な接触を増やしてあげてください。
子どもたちは、このように甘えながら辛く悲しい出来事を必死に乗り越えようとしているのです。

④話をする

そして、最も大切なことは「話をする」ということです。
起こった出来事について、子どもにも理解できるように話して、子どもが感情を安心して表に出せるようにしてあげます。
子どもの感情表現方法はさまざまです。
引きこもったり、怒ったり、悲しんだり、時には何も起こらなかったかのように振る舞う子どもさえもいます。

遊びや運動など、自然な交流の中で子どもが話をするきっかけを作り、子どもが話し始めたら、どのような内容でも耳を傾けてあげてください。
関係ないような内容でも、話を聞くことで子どもの気持ちを知ることができ、適切な対処法を探ることができます。

05 高齢者へのケア


高齢者は体力面や疾病などによる身体的な弱さばかりに目を向けられがちですが、高齢者の「こころ」について考えてみましょう。

突然の大災害で、これまで一生懸命築き上げてきた家、家族、財産を一瞬にして失ったショックを想像してみてください。

あまりにも大き過ぎて、計り知れるものではないでしょう。
また、普段から1人で生活している方も多いため、孤立しがちになります。
できるだけ1人ぼっちにせず、周りの人々と接触する機会を持てるようにしてあげてください。

しかし、ここで注意すべきことは、災害弱者に含まれる子どもとは違い、その方自身の考えや思いがあります。
彼らが必死に歯を食いしばり、日本を支えてきてくださった事を決して忘れてはなりません。
高齢者自身の尊厳を守るよう接することは非常に大切です。



▶︎高齢者の特徴的なストレス反応

では、これから高齢者が災害に遭遇したときの特徴的な反応を勉強していきましょう。

ただし、子どもの場合でもあったように個人によって反応はさまざまなので臨機応変な対応が求められます。

まず、高齢者は加齢による生理機能の低下により、怪我をしやすかったり病気になりやすかったりします。
避難所などでは肺炎などで多くの高齢者が苦しい思いをされています。
年齢的にも明るい将来を思い描くことができず、悲観的になったり深い喪失感を実感し、睡眠や食欲などの欲求が低下してしまうなどといった反応が見られることがあります。

 


▶︎高齢者のストレス反応への対処法

①孤独にさせない

最も大切なことは、高齢者を孤立させないことです。
何か困っていることはないか、どうすればこころが落ち着くのかなど、相手の気持ちを確認しながら、安心してほかの人とコミュニケーションをとれるようにすることで、さまざまな情報を得ることにつながり、それはやがて安心感へとつながっていきます。

②事実に即した正確な情報を伝える

これまでに起こったことや、これから起こりうることについて、正確な情報を伝えてあげます。
避難所においては、食料や救援物資の配給、生活情報などが放送や掲示板により共有されています。
相手の理解力を確認しながら、個別に繰り返し伝えてあげてください。

③運動や、身体を動かす機会をつくる

災害により生活環境が大きく変化したことで、生活リズムが大きく崩れて活動量が減少することは、こころにも悪影響を及ぼします。ケアを行う人は、体操や散歩など意図的に身体を動かす機会をつくりましょう。  生活リズムを整えていくことで気力や活力の向上が期待できます。

④高齢者自身が存在意義を感じられる機会をつくる

高齢者は、これまで必死に生きてきた中で、自身に降りかかる困難な状況を乗り越えてこられた経験を持つ方が多く、その時の経験を話すことで過去を思い返し、高齢者自身が現在の不安や心配事に立ち向かっていく力を再認識させることが期待できます。

また、ケアを行う人にとっても高齢者が持つ経験から、思わぬヒントを見出すこともあります。
これは、高齢者に限らず、これまでに培った能力を発揮できる機会というのは、コミュニティーの中で自分も役に立てているという満足感につながっていきます。

06 まとめ

「災害」に対する備えについての情報や記事は豊富であり、近年では警視庁災害対策課のX(Twitter)などで洗練された情報が日々発信されています。

テレビなどからは発災後の救助活動や消火活動、被災地や避難所の情報を得ることはできますが、被災者のこころの変化までを追うことはできません。

災害時の援助活動として、みずから行う「自助」、地域などのつながりで行う「共助」、そして「公助」があります。
このうち、「自助」と「共助」については、発災直後の救助活動や避難活動、そして避難所が開設され避難生活が長期化した際に重要な役割を果たします。

弊社スタッフは、救急隊時代には東日本大震災の被災地で救助活動を行い、能登半島地震においてはSun Roadの民間救急チームは被災地において広域搬送支援を行いました。

現地では多くの医療スタッフや行政職員が駆け回り、支援の輪が広がっていく中、いずれの被災地でも「精神的なケア」が十分に行き届いていない現実を目の当たりにしました。

DPAT(災害派遣精神医療チーム)などの専門チームも被災地に入り昼夜問わず活動してくれていましたが、全ての被災者に対し精神的ケアを施すのは現実的に難しいことです。

タイトルにもあるように、心の力の可能性を信じて、生き延びたその先に明るい未来が訪れるために、お互いが手を取り合うきっかけのヒントとして、今回の記事が今後想定される大災害への備えのひとつとしていただけたらと思います。


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