自宅〜関東地方精神科医療機関【説得】

搬送内容

年齢 / 性別：50歳代 / 男性

体格：大柄（100kg超）

ADL：自立

同乗者：なし

医療処置：なし

病名：統合失調症

搬送車両：救急車

介助員：救急救命士

搬送経路：自宅〜病院

お問い合わせ

ご家族さまから弊社の公式ラインアカウントに相談が寄せられました。
統合失調症を患うご本人さまは、数年前に精神科を退院して以来、通院もせず自己断薬した影響で、「母親に毒をもられた」「放射能を撒かれた」などの被害妄想が大きくなったり、自宅内外で大声で叫んでいたため警察を呼ばれたりと、統合失調症特有の「陽性症状」が顕著になってきたとのこと。

更に、前回搬送を依頼した業者の対応が、何の説明もなく無理矢理羽交締めにして搬送したことから、患者搬送業者に対し強い不信感を抱いているとのことでした。

ご家族さまの心の疲弊も高まっていることから、弊社では早速人員及び車両を手配するとともに、救急救命士である心理カウンセラーがご家族さまに寄り添いながら、これまでに至った状況やご本人さまの様子、そして搬送当日の流れなどを綿密に打ち合わせ、できる限り穏やかな搬送を目指します。

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搬送の様子

精神科医療機関への入院は、予め病院から来院時間の指定があります。
弊社では、説得を含めた搬送時間を逆算し、ご本人さまの元に伺います。

ご自宅に到着すると、ご本人さまは自室で横になり、テレビを見ていました。
私たちの姿を見ると、前回の搬送業者を思い出したのか興奮して強い拒否を示しました。
ご本人さまは強制的な搬送を警戒したため、心理カウンセラーと1対1で話し合うこととなりました。

最初は興奮が治らず、大きな声で話していましたが、心理カウンセラーの真摯な対応に少しずつ警戒を解き始め、ご本人さまはこれまでの経緯、現在の状況、家族との関係性を少しずつ話してくれました。
会話の中で、キーパーソンであるご家族さまに信頼を寄せていることに気が付いた心理カウンセラーは、その部分に焦点を絞り、説得を続けます。

しかし、長い時間の説得にも関わらず、ご本人さまの受診の意思は変わらず、自宅出発のタイムリミットが来てしまいました。
致し方なく、弊社スタッフがご本人さまのお身体を抱えようとします。

>> するとその時です。
涙を流して見守っていたご家族さまの姿を見たご本人さまは、

「分かった。家族の涙を見て俺は決めた。自分の足で歩くよ。」

抵抗もなくなり、同時にご本人さまの雰囲気も一気に穏やかになったのでした。
その後は病院へ向かうための準備をご自身で進め、スタッフと共に車両に向かいました。

車内の様子

救急車に入るとご本人さまは車内の椅子に座り、約40分の道のりをスタッフと会話をしながら穏やかに過ごしました。

時折り入院に対するご不安を吐露されましたが、救急救命士である心理カウンセラースタッフが、100kgを超える体重は腰痛や膝関節痛など整形外科的な問題を誘発する他、心疾患や脳血管障害のリスクも生じてくるため、今回は精神科だけでなく総合的にご自身の心と身体に向き合いって欲しいとお伝えさせていただきました。

ご本人さまは非常に納得され、「確かに、今回は自身のオーバーホールのつもりでお世話になってくるよ」と前向きな発言が見られました。

院内の待ち合いにおいても、一切の興奮などは見られず、終始穏やかに医療にお繋ぎすることができました。
ご本人さまとスタッフの会話から、ご本人さまの本質は他人想いで、温かいお人柄であると確信が持てました。
今後治療が進み、ご家族皆さまで温かい食卓を囲めるよう弊社スタッフ一同心から願っております。

ご利用者様の声

この度は大変お世話になりました。本人も理解者が家族以外で出来たことは大変嬉しいことだったに違いありません。再発しないようにサンロードさんのお力添えをいただきつつ、サンロードさんからの施設紹介などにも前向きに行くようにできたら、社会との繋がりも持てますし、将来的には仕事にも就いてもらえればいいなと思います。退院の目処が立ちましたら、ご連絡させていただきます。引き続きよろしくお願いします。